帰り道

約10年間の東京での生活の後、今年の3月から地元である関西で暮らすことになった。


新しい職場は新大阪にあり、神戸の山奥にある自分の実家から通う毎日を送っているが、関西で暮らしていると思わず「なんでやねん」とつぶやいてしまうようなことにに遭遇する。


一昨日の晩の仕事帰り、新大阪駅の近くで、私の目の前に20代後半ぐらいの女性二人組が歩いていたのだが、その内の一人が歩道の脇に設置してある1メートルぐらいの高さのポールに自身の股間をひっかけて転んでいた。


彼女はスカートではなくパンツスタイルで、大きく股を広げて宙に浮き、股間をポールの先端部分に当てている瞬間の映像が、今でも私に強い印象を残している。


恐らく彼女は、一緒に歩いていた友人との会話に夢中になり、目前に迫りくるポールの存在に衝突する寸前まで気づかなかったのだろう。そして危機を感じた瞬間、上方に足を広げて飛ぶことによって、その障害物を飛び越えて衝突を避けようと判断したのであろうが、あまりにも助走距離が少なかった、ジャンプする角度が足りなかった、運動神経が無かった、そもそもその判断能力には疑問視されるべき点が多くあった、などの要因が災いして、見事障害物の先端部分を股間でヒットする結果となったのである。


派手に転んで立ち上がった彼女は友人とげらげら笑いながら足早にその場を去って行った。


私は何か取り残されたような気分になり、数秒呆気にとられたのだが、平常心を取り戻そうと「なんでやねん」とつぶやいて再び帰路へ着いた。