映画のような

今日お昼頃、中国自動車道を走っていた。一人で運転していると色んな考え事が浮かんでくるもので、その時は去年のJリーグ最終節ガンバ大阪vsジェフ千葉の試合で遠藤が見せたコロコロフリーキックのことを考えていた。
「あれを本当にやっちゃうところが凄いよな。失敗したら物凄い非難を浴びたかもしれないのに。。。しかしああいう意外性のあるプレイというのは楽しい。結局一番観たいのはそういう光景なのかもしれない。。。家に帰ったらもう一度Youtubeで見よう」


吉本新喜劇のような大げさなコケ方を晒さなければいけなくなった哀れなGKの姿を思い浮かべていると、加西サービスエリアまであと2kmあたりのところで結構車間距離を空けて前を走っていたトラックが少し右側に車体を振って何かを避けた。
道路の左端に落ちていたものは黒と白の布地のようなものだった。
私もトラックにならって車体を振って避けたのだが、それが具体的に何であるかはっきりと認識できなかった。が、まぁいいや、と思って
そのまま進んでいった。道路には、軍手やら、動物の死骸やら、空き缶やら、靴やら、何かしら落ちているものだし、と思って。


そろそろ加西サービスエリアかな、という辺りのあるカーブを曲がると、さっきのトラックが止まってるのが目に入った。すぐにブレーキを踏み、速度を落として近づいていくと、トラックの前方で全裸の男が道路の真ん中を歩いているのが見えた。


一瞬何が起こっているのか分からなくなり、自分も車を止めるべきか迷った。
あの道路に落ちていた黒と白の布地はこの男の服だったのか。
9月に入ったが、今日の昼の温度は35度ぐらいで、天気は真夏の快晴だ。男の白い体はまぶしい日光で輝いて見えたが、靴も靴下も履いてないのになんで焼けるようなアスファルトを歩けるんだ。
何もかもいやになって自殺を図り、車にはねられようと思って、高速道路の真ん中を歩くことにしたのだろうか。それともただふざけているだけなのだろうか。暑さで、もう良くわかんなくなっちゃったんだろうか。
とりあえず俺の車の前には出てくるなよ。なんだか大変なのは分かるけど、接触しないでくれよ。と念じながらゆっくり、ゆっくりと男の横を通り過ぎた。


通り過ぎた後にルームミラーで、その男をもう一度観たのだが、自分の視線は男の股間に注がれていた。剛毛で包まれた男の股間を見て、「やっぱり全裸だな」と確認し、約束の時間に目的地に到着するために必要なスピードを上げていった。


あれも、まぁ、意外性のある光景だよなぁ、とか思いながら私は再び車を走らせながら別の考え事の中に没入していった。


(不思議な体験をするとなんだか落ち着かないので、気持ちを整理させようと思って書いたまでである。)